

◆5/20 カープ2回戦(マツダ)
○ F 5 − 4 C ●
F 000 000 005 5
C 001 000 030 4
投手:武田勝(6)-榊原(1)-乾(0.1)-植村(0.0)-☆谷元(0.2)-S増井(1)
先発:1右糸井 2三小谷野 3二田中賢 4左中田 5一稲葉 6中陽 7遊加藤 8捕大野 9投武田勝
<試合詳細はファイターズ公式サイトでご確認下さい>
不思議な大逆転勝利でした。
ドラマティックな結末を迎える試合は、たいてい「ここがターニングポイント」というプレー(良くも悪くも)があるものですが、最後の攻撃を迎えるにあたって、正直、4点差をひっくり返すほどの“予兆”は何もなかったと思います。
ただ、振り返ってみてひとつ言えるのは、8回裏、3点を失い、なおも一死満塁の場面。
植村に代わってマウンドに上がった谷元が捉えられた初球、完全にヒット性のライナーをダイビング・キャッチした(起き上がってすぐショート加藤の指示でセカンドに送球して併殺完成)陽の、ここまで不利な試合展開になっても勝利を諦めないプレーが「防波堤」になったということです。
1点もやれない8回裏。
乾が残した一死一二塁のピンチで、栗山監督は植村をマウンドへと送り出しました。
“厳しいマウンドを経験してこそ投手は育つ”という一貫した方針で、今まで森内や乾を鍛えてきたように、今日は植村を起用したのだと思うし、今までの植村の投球内容はチャンスをもらうに値するものでもあり、抑えてくれる期待の持てる投手だったと思います。
しかし、実績がない若い投手の場合、緊迫した場面では「継投失敗」というリスクはやはり決して少なくない可能性としてあるわけですから、そうした場合にどうするかという部分で、今日は栗山監督の“優しさ”が、元々多くはなかった勝利の確率を、どんどん下げてしまったのではないかと思っています。
代打・前田選手にタイムリーを打たれて1失点。
味方打線が機能していないことを考えれば、この1点だけでも大きなダメージでしたが、一死一三塁から堂林選手にも打たれてまた1失点。
9回の攻撃は6番陽から始まり下位打線へ。
まだスレッジや二岡が代打で残っているとは言っても、勝つためには4点が必要な状況では、もはや勝利はほとんど遠のいたと思いました。
とは言っても「最後まで諦めない」ならば、勝利の可能性がさらに低くなっていく、これ以上の失点は食い止めたいし、そのためには、さらなる継投も当然打つべき一手としてあったはずです。
けれど。続投した植村は次の打者に四球を与えて一死満塁とすると、結局押し出し四球によってこのイニング3点目を失いました。
ここでやっと栗山監督は投手交代を告げました。
“信じて”送り出した植村に、やられっぱなしで戻ってこさせるのではなく、ひとつでもアウトを取らせてやりたかったのではないかと思います。
これからの植村を考えれば、確かに少しでも収穫のあるマウンドにしてあげたかったと個人的にも思います。
でも。将来のために若い選手を育てることと、今日の目の前の試合を勝つことの“バランス”において、このイニングの監督の采配は、勝利よりも選手に寄り添っていた。
そして、結局どちらも失った…と思いました。
それでも。グラウンドで戦う選手たちは「勝つ」ことを諦めない。
1点取られても次の点はやらない。2点取られても3点取られても、次の点をやらないために懸命にプレーしていました。
陽岱鋼のスーパープレーがその象徴だったし、実際に「5点目」を防いでいたからこそ、信じられないような逆転勝利も生まれたのだと思います。
9回表の攻撃。
スーパーキャッチを演じた陽からの攻撃だったので、今思えば、彼が例えばヒットで出塁していたら、「あの守備のビッグプレーから何かが!」という期待がいきなり盛り上がったのではないかと思いますが、実際には陽はライトフライに倒れて一死。
続く加藤のショートゴロが相手エラーを誘って一死一塁。
エラーは失点のきっかけになりやすいものですが、1点2点の僅差ならともかく、4点差もあれば、仮に1点失うことになってもカープにはさほどの痛手でもありませんから、慌てることもないところ。
ここで代打スレッジが送られましたが、ホームランが出てもまだ2点差。
そして、現実にはファーストゴロに倒れて二死。
加藤は二塁へ進みましたが、もうひとつアウトを取られればゲームセットという崖っぷちに追い込まれたのはファイターズの方でした。
打席には広島出身の代打・二岡。
“一振り”に賭ける代打で数多くの実績を残してくれている二岡は、追いつくでもない、勝ち越すでもない「1点」のために、いつも通りの集中力で打席に臨み、そしてタイムリーヒットを放って、ついに1点を奪いました。
どんな状況でも、与えられた仕事場でやれることをやる。
二岡のプロ根性が、まだ戦いは終わりじゃないと教えてくれたような気がします。
得点は1−4。二死一塁。打順は1番に戻って糸井。
糸井が打席で粘る姿には「絶対にアウトにならない」強い思いを感じました。
そして死球。痛かったと思いますが、きっと「つなげた」という誇らしい気持ちもあったはずです。
二死一二塁。
二岡が、糸井が「つなげた」結果巡ってきたチャンスに、小谷野が応えてくれました。
右中間にかっ飛ばしたタイムリー二塁打によって、村田(二岡の代走)、糸井が相次いでホームインして2点追加。
とうとう1点差まで詰め寄ることになりました。
なおも二死二塁。
打席は3番田中賢へ。
3ボールからフルカウントに持ち込まれましたが、そこから際どいボールをファールでしのいで、結果、しっかり四球を選びます。
どんな形であっても、前の打者たちがつないできたものを、次の打者へとつないでいく。
相手エラーで始まり、進塁打、タイムリー、死球、タイムリー、今度は四球。
「打線爆発!」的な派手さはありませんが、打者たちがスクラムを組んでじりじりと押し込んでいくような、これがファイターズらしい「つながり」の力。
二死一二塁で、打席には中田。
本人も試合後コメントしていた通り、地元広島でここまで、まったくチームに貢献できていなかった4番打者が、とうとうやりました。
タイムリー二塁打により、二塁走者中島(小谷野の代走)が生還してついに同点!
みんなが「9回二死」の崖っぷちから、懸命につなげてきたバトンを、中田もまたしっかりその手で受け取ってくれたのだと思います。
正直、これを「きっかけ」にして飛躍的に打てるようになるとも思えませんが、少なくても、この打席に入るときの“気持ち”は忘れないでほしいです。
二死二三塁。
打席には5番稲葉。
この時点ですでに試合時間は3時間半。
延長戦はありませんから、勝つためにはここで一気に勝ち越さなければいけません。
しかし、稲葉の打球はセカンドゴロ。
万事休すと思いましたが、二塁手からの送球が逸れ、一塁手の足がベースから離れている間に、全力疾走していた稲葉の足がファーストベースを踏んで一塁セーフ!
その間に、三塁走者田中賢が逆転のホームを踏みました。
どこまでも“ファイターズらしい”逆転劇になりました。
(この後、勝ち越しに満足することなく、陽がよく粘って四球を選び、二死満塁までチャンスを広げていったしつこさも、ひじょうに良かったと思います。)
忘れられない勝利になると思うし、忘れてはいけない勝利だと思います。
最後の最後、追い詰められたところで発揮された「つないでいく」気持ち。
昨日も今日も、得点チャンスは何度もありながら結局ものに出来ないケースが続きましたが、そうしたチャンスのひとつひとつで、最終回のような粘り強さが、どうにかしてつないでいこうという必死さがあったら、何点かは取れていたのではないかと思います。
野球はひとりで戦っているわけじゃない。
みんなが頑張っているから自分も頑張れるのが野球のようなチームスポーツの、心を揺さぶるところ。
バトンを渡す手。受け取る手。
つながっていきましょう。
カープ戦は1勝1敗。
セ・リーグ本拠地から開幕した交流戦はこれで3勝1敗。
上々のスタートとなりました。
次からは札幌ドームで、慣れたパ・リーグのルールでの戦いになります。
今日の勢いと地の利を生かして。
進め!ファイターズ!!
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